秋田市の秋田中央高校吹奏楽部が9月、一日だけの特別レッスンを受けた。先生は世界で活躍する憧れのサクソフォン奏者。どんなレッスンになったのだろうか。
真剣な眼差しで練習に取り組んでいるのは、秋田中央高校吹奏楽部。部員は1、2年生36人だ。代々受け継がれている「音に命を、心に感動を」という言葉を胸に、日々練習を重ねている。
取材したこの日、部員たちのもとを訪れた特別レッスンの先生は、サクソフォン奏者の上野耕平さん。音楽の活性化を促進する秋田県の事業の一環として訪問した。
上野さんは8歳からサックスを始め、東京芸術大学を卒業。これまでに国内外のコンクールで数々の賞を受賞している。また、演奏活動だけでなく、テレビやラジオに出演するなど、幅広く活躍している。
憧れの奏者を前に、部員たちは少し緊張した様子。そんな部員たちに上野さんは、ユーモアあふれる独特の表現を交えながら、知識や技術を伝えた。
上野耕平さん:
「メロディーと対旋律もいる。いろんな人がいる。その人たちを包み込んであげてください。支えるとかじゃなくて『もうわかったから』って両手で包んであげてください」
部員たちは、個性を出しながら演奏することの大切さや、音を遠くへ届ける意識を持つことを教わった。そしてしばらく練習すると、上野さんから指導を受けた部員たちの表情に変化が出てきた。
クラリネットを担当する部長の佐藤栄夏さんは、音楽の表現方法に課題を感じていたが、指導を受けながら少しずつ自分の音に変化を感じたという。
佐藤栄夏部長:
「音が変わっていくのが身近に感じられて、一つ一つの言動や演奏がこんなにも音を変えるのだと感動した」
最後は上野さんと一緒に、指導してもらったことを意識しながら演奏した。上野さんはこの日の練習を振り返り、秋田中央高校吹奏楽部の可能性は無限大だと期待を寄せた。
上野耕平さん:
「澄んだ音がするのが特徴的だなと思った。それをどう壊していくかというような作業だった。すごくきれいで澄んだ音をしているので、すてきな音や良い音の種類をもっともっと増やしていくと、もっと聞いている人の心をつかむバンドになると思う」
佐藤栄夏部長:
「一つ一つのフレーズの吹き方や、ちょっとした音の意識の問題で、どんどん音が変わっていくのが自分でも吹いていて感じられて、音楽はもっといろいろな表現ができるのだと改めて再発見できた」
プロの奏者から演奏を教わった部員たちは、自信がついたのか、笑顔が見えた。
「音に命を、心に感動を」。秋田中央高校吹奏楽部は、これからも美しい音色を響かせていく。
10月02日(水)21:00