秋田県内有数の観光地・男鹿市では、酒を生かした街づくりの取り組みが進められています。6月には新たな宿泊施設も誕生するなど、街に新たな風を吹き込んでいます。

6月6日、男鹿市の中心部・船川港地区に「ホテルかぜまちみなと」が開業しました。このホテルを手がけたのが男鹿市内の空き家などを改装し、食品加工所や飲食店などに活用している「男鹿まち企画」代表の岡住修兵さんです。

ユネスコ無形文化遺産にも登録された「男鹿のナマハゲ」で知られ、四季折々の自然や伝統文化を楽しめる男鹿市は県内有数の観光地ですが、岡住さんが移住してきた4年前には少子高齢化の影響で市の中心部でも空き家や空き店舗が目立つようになっていました。

男鹿まち企画・岡住修兵代表：
「立ち上げ当初、コロナ禍だったこともあったが、街が閑散としていて、すごくさみしかった。その当時からこの街に人が歩かせられるような事業を立ち上げたいなと思っていた」

秋田市の酒造会社で酒造りを学んできた岡住さんは2021年、JR男鹿駅の旧駅舎を改修して新ジャンルの酒「クラフトサケ」の醸造所「稲とアガぺ」を設立します。

この醸造所を皮切りに岡住さんは、さまざまな施設をオープンさせていきます。酒かすを活用した調味料を作る加工所や市内に少なかったラーメン店。「二次会ができる場所を」という住民の声に応えたスナック。さらには酒かすを使ったジンなど造る蒸留所など、男鹿駅周辺の空き家や空き店舗を改修し、わずか3年半の間に8つの施設が稼働しました。

宿泊施設として男鹿駅近くに完成した「ホテルかぜまちみなと」は、その集大成ともいえる施設で、男鹿観光を楽しんだ客にゆっくりと体を休めてもらおうという狙いがあります。かつて港で働く人たちが寄宿舎として利用していた施設を改修し、新たに整えられた客室は14室。カーテンは海に沈む夕日をイメージし、広い窓からは海を渡る潮風がたっぷりと入り「男鹿の海」を感じられます。

男鹿まち企画・岡住修兵代表：
「僕たちの事業の中核はお酒なので、僕たちのお酒をこの街で存分に楽しんでいただきたいし飲んだら人間泊まりたくなると思うので、お酒を飲んで、そのあと宿でゆっくりしてもらって、次の日は自然豊かで魅力的な男鹿半島を満喫してもらえるような滞在をしてもらいたい」

ホテルの目玉の一つが海の見えるサウナです。ヒノキの香り漂う空間では海を目の前に眺めながらサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させるロウリュも体験できます。

竹島知郁アナウンサー：
「サウナでたっぷり汗を流した後は水風呂で体を冷やします。目の前には海。最高の見晴らしですよね。そしてこの開放感のある場所で整う。この経験は他には変えられません」

たっぷりと汗を出して整ったあとはちょっと一杯いかがですか。ホテルにある中華レストラン「マッチャイナ」では「少し変わった町中華」をコンセプトに中華料理や酒を楽しむことができます。

竹島知郁アナウンサー：
「この中華風酒粕マヨネーズを使った麻婆豆腐をいただきます。スパイシーさがガツンと来ますね。その中に酒粕の甘い香りが漂っています。これ、ビールはもちろん合うんですが、日本のお酒にも合わせたいところです」

岡住さんたちを中心に進む男鹿の新しいにぎわいづくり。市のトップも町の変化を感じているようです。

菅原広二・男鹿市長：
「男鹿は変わりましたよ。多くの若者が来るようになりましたし、祭りなども今までと違って盛り上がっているし、これからですよ。いろいろなことがなお一層変わっていく。温かく見守るのではなく、全面的に支援していく」

男鹿まち企画・岡住修兵代表；
「男鹿の街を『酒の街』にする『酒シティ構想』を掲げさせてもらっている。僕たちだけでなく全国各地から酒を造りたい若者がこの街に集まってきて、まだまだ空き物件はいっぱいあるのでそういった物件が一つ一つ醸造施設になっていって、それが5軒、10軒と集積して30年続けば文化になる。この街を本当の意味で未来に残すためには文化の柱が必要だと思っていて、そんな柱になるような事業を死ぬまでに立ち上げていきたい」

「ホテルかぜまちみなと」では手軽な価格で宿泊できる相部屋タイプのドミトリールームも用意されていて気軽に利用をしてもらいたいと話している。

06月20日(金)16:30