クマの目撃情報が目立ち始めています。2025年は市街地に相次いでクマが出没する異常事態に見舞われました。秋田県内ではクマによる人身被害は67人に上り、屋外活動を制限したり、店の営業に影響したりと日常生活が脅かされました。
同時に注目が集まったのが「クマ撃退スプレー」です。いざという時の最終手段として期待がかかる一方で、スプレーは高価な上に使用期限があるため、購入をためらう人が多いのが実情です。
こうした課題解決のため、秋田市の企業が立ち上がりました。「手に取りやすい価格」と「必要な効果」を両立した、新しいクマ撃退スプレーを開発しました。
まずは、クマスプレーについて街の声を聞いてみました。
男鹿市民:
「男鹿市でも街の近くにクマが出る。クマ撃退スプレーは持っていない」
秋田市民:
「スプレーは持っていない。もう少し安ければ常備しておいた方がいい。3000円ぐらいなら買う。少し安いかもしれないが」
クマ撃退スプレーは、アメリカでは環境保護庁(EPA)が厳しい基準を設けていて、認可を受けた製品には「EPA」の表記があります。効果が期待される一方で、価格は1本2万円ほど。そこで立ち上がったのが、秋田市の熊ノ護化研です。
熊ノ護化研・岡泰造代表:
「アメリカでもカナダでも北欧でも、クマスプレーを軸にした、人とクマが共存できるベアスマートコミュニティがあり、もっと安価なクマスプレーがあれば、日本でもベアースマートコミュニティを実現できる」
海外の「クマと人が共存する地域づくり」にヒントを得て、約2年半かけて開発されたのがオリジナルのクマ撃退スプレー。その名も『秋田マタギの一撃』です。
価格は3980円と海外製品の4分の1以下ですが、効果の要となるカプサイシン濃度は、EPA認可の商品と同じ2%です。
大きさにも秘密があります。
立川愛梨アナウンサー:
「持ってみると結構軽い」
岡代表:
「小さいほうが年配の人も持ち運びしやすい。しかし内容量が半分」
海外製品の平均内容量は225~290ミリリットルですが、『秋田マタギの一撃』は半分の120ミリリットルです。
立川アナウンサー:
「軽量で使いやすいかもしれないが、実際にクマと遭遇した際、自分が使いこなせるか不安」
岡代表:
「なかなか使ったことがある人は少ない。そこで練習用を開発した」
いざという時に効果がある使い方ができるよう「練習用」も開発しました。使い方は実戦用の製品と同じで、ロックを解除したら、風向きに注意して肘を曲げずに噴射します。噴射してみると、噴射距離は約7メートルでした。
立川アナウンサー:
「使うまでがとてもシンプル」
岡代表:
「クマから視線をそらさないことが大切と言われているので、クマを見たまま片手で取り扱えるような設計にしている」
一方で、商品開発で目指しているのはクマを排除することではありません。
岡代表:
「殺すのではなく、あくまでもクマスプレーを使って『ここからは人間の人里、人間の生活域』だとクマに教える、クマを山に返す。それで境界線を保っているのが世界の標準になっているようなので、日本でもその“境界マネジメント”をしっかりと行い、クマと人間が、それぞれ自分たちの生息域で安全に幸せに暮らしていけるような社会をつくりたい」
改めて、秋田マタギの一撃とEPAの認可を受けたスプレーを比較してみます。
▽射程距離は、EPA認可のスプレーが5~8メートルに対し、マタギの一撃は約6メートルと大きな差はありません。
▽カプサイシン濃度はどちらも2%です。
▽内容量は、EPA認可製品が290ミリリットルに対し、マタギの一撃は120ミリリットルです。内容量が少ない分、軽量になっています。
県内は、いつ・どこでクマの脅威にさらされるか分からない状態が続いています。いざという時の“お守り”となりそうなこの商品は、間もなく県内のホームセンターの店頭に並ぶ予定です。
04月02日(木)19:30