台風25号による記録的大雨で、千葉県の住宅街では大規模な冠水が発生しました。こうした大雨の際、特に注意が必要なのが、周囲より低い場所を通るアンダーパスです。秋田県内でも9月に入り、車が立ち往生する事例がありました。
行政の対応にはどのような課題があるのか。事故を防ぐ対策について、秋田県内の取り組みに注目します。
様々な対策が進められているアンダーパスですが、大雨の際には「いつも通っている道だから大丈夫」と考えず、冠水情報や通行規制を確認し、水がたまっている場合は無理に進入しないことが大切です。
短い時間の激しい雨で、周囲より低い場所を通るアンダーパスが冠水する事例が全国で相次いでいます。
8月は千葉市で、9月7日には福島県いわき市で、いずれも車が水没する死亡事故が起きています。福島の事例では、事前の点検や排水設備の清掃が行われていたものの、想定を上回る雨で正常に排水できなかったとみられています。
こうした冠水の事例は秋田でも起きています。
9月3日未明、秋田市では雷を伴って1時間に50ミリの非常に激しい雨が降りました。
秋田市保戸野桜町では天徳寺地下道が冠水し、車2台が立ち往生しました。けが人はいませんでしたが、重大な事故につながる恐れもありました。
大雨が予想されていたこの日、秋田市は3人の職員が市役所で警戒にあたっていました。
市の職員がアンダーパスに設置された監視カメラで冠水を確認したのは、午前4時半ごろ。しかし、通行止め措置を取るために職員が現地に到着したのは、約1時間後の午前5時37分でした。
天徳寺地下道では、水位が10センチを超えると、電光掲示板に「通行止め」と表示される仕組みになっています。それでも雨で視界が悪い中、車の侵入を完全に防ぐことはできませんでした。
冠水の確認から、職員が現地で車の侵入を物理的に防ぐまでには、1時間以上かかりました。
一方、秋田県内では新たな対策も進んでいます。
県由利地域振興局建設部道路整備課・松塚忠政課長:
「赤沼JRアンダーパスでは、ことし3月にエアー遮断器を導入し、大雨による冠水時に車が侵入することを防止するような装置がついている」
由利本荘市の赤沼JRアンダーパスで、2026年3月に運用が始まったエアー遮断器。水位が15センチに達すると、センサーが検知してバルーンが自動で膨らみ道路をふさぐ仕組みです。
このアンダーパスは、1日に約1万3000台の車が通る交通の要所です。
一方で、子吉川との距離は約200メートルで周囲から水が集まりやすい場所にあり、過去5年間で冠水による通行止めが10回ありました。
これまでも冠水を検知する設備はありましたが、車が水没する事例も3回起きていて、被害が相次いだことから自動遮断器の導入に踏み切りました。
運用開始から約半年、すでに3回作動しています。
松塚忠政課長:
「遮断器を設置してからは車の侵入事例はない。水没事故も発生していない。県内でも初の事例となるエアー遮断器により、設置事例が増えていくことによって事故が防止できればいいと思う」
県内で事故防止に向けた取り組みが成果を上げる中、国は冠水する前に道路を止める対策を広げています。
金子恭之前国土交通大臣:
「今後、予防的な事前通行規制については、過去の冠水実績などを踏まえ、関係機関と連携しながら導入の拡大を検討していく」
大雨が予想される場合に、冠水する前に通行止めにする「予防的な事前通行規制」の対象を全国で拡大。秋田県内では初めて、北秋田市の「小ヶ田函渠」が対象となりました。
大雨の危険度が高まりレベル4大雨危険警報が発表され、1時間の雨量が60ミリに達した、または予想される場合などに通行止めとなります。
水位を検知して、自動で道路を遮断する対策。さらに、雨の予測などを基に冠水する前に道路を止める対策。
一方で、予防的な規制には雨の予測が外れる可能性など難しさもあります。
水害や防災に詳しい秋田大学の渡邉一也准教授は、メリットと課題を指摘します。
秋田大学大学院理工学研究科・渡邉一也准教授:
「前もって止めておくとか、ただその場合は問題点もあって、雨の予測の制度というものに左右されるので、外れた場合に狼少年効果とか色々出てくるので、そういったところのケアは必要だと思うが、非常に有効な手段だと思う」
渡邉准教授は、行政による対策に加え、ドライバー自身がどのように情報を入手するかも重要だと指摘します。
秋田大学大学院理工学研究科・渡邉一也准教授:
「秋田市は危険なアンダーパスを把握し、6カ所の映像をリアルタイムで公開しているが、見たことがないという人が結構いると思う。行政だけではなく、情報をどのように取っていくかがこれからの課題だと思う」
09月22日(火)19:00