117年という長い歴史を持つ秋田市の秋田北高校音楽部。部員の確保に奔走しながら活動の幅を広げ、全国の高校生による文化の祭典「全国高校総合文化祭」での発表に向けて練習に励む生徒たちを紹介します。

5月31日に秋田市で開かれた演奏会。伸びやかな歌声を響かせているのは市内の秋田北高校音楽部の部員・OG約70人です。

年に一度開いているこの定期演奏会は、2025年で50回という節目を迎えました。

音楽部の活動の始まりは今から117年前の1908年とされていて、前身である秋田高等女学校時代にさかのぼります。当初は箏の演奏も行っていましたが、現在は音楽部とは別に箏部があり、それぞれで活動しています。

2025年度の音楽部の部員は16人。2008年に男女共学となってからしばらくは男子の入部はありませんでしたが、2023年、音楽部の歴史の中で初めてとなる男子部員が加わりました。

東北大会や全国大会に何度も出場するなど長い歴史の中で輝かしい成績を残してきましたが、現在は混声合唱にも取り組めるようになり、活動の幅が広がりました。

男子部員の柴田晄翔さん（2年）は「しっかりハモれるのが非常に楽しいし、一つの音楽、曲ができていくのがとても好き」と話します。

部活のスローガンとして掲げているのは「想奏（そうぞう）」。生徒たちが考えた言葉で、歌声を通して聴く人たちに思いを届けられるようにと日々練習を重ねています。

平岡葵部長（3年）は「いろんなパートがあるので、自分だけ前に出たりとか自分だけ小さい声でとかじゃなくて、周りをみた歌い方が大事。和気あいあいとしていて雰囲気が優しい部活だと思う」と話します。

2026年には秋田県内で全国高校総合文化祭が開かれます。部員たちは大会のイメージソングを歌う合同合唱団に参加していて、45年ぶりに開かれる秋田大会のPRにも取り組んでいます。

合唱団への参加について平岡部長は「私たちがやるんですか？みたいな感じでびっくりしたが、やってみると、私たちの演奏を聞いて『良かったよ』と言ってくれたのでやりがいがある」と話します。

音楽部は2025年の香川大会にも参加する予定です。

秋田大会の実行委員を務める2年生の柴田さんは、香川での経験を糧に委員として、そして音楽部員としても2026年の大会の成功につなげたいと意気込んでいて、「合唱の技術も全国から集まるのでしっかり学びたいと思っているが、実行委員としてもかがわ総文祭ではもっと視野を広くして、こういう仕事をしているんだなと感じながら秋田総文祭でもしっかり生かしていければいいと思っている」と話します。

長い歴史を持つ音楽部ですが、近年は部員の確保に奔走しています。

2024年の部員数は6人で、大会への出場が危ぶまれたこともありました。部員たちは演奏会などを開催することで、歌うことの楽しさを広く伝えていきたいと考えています。

平岡部長は「ぴしっとした部活なのかなと思われるが、やりやすい、誰でも入ってきやすいような雰囲気がずっと続いていけばいいなと思っている」と話し、部員増加に期待を寄せます。

たくさんの先輩たちが紡いできた歴史と美しいハーモニー。

これから先も音楽部としての伝統をつないでいくため、部員たちはその歌声を磨き続けます。

06月04日(水)21:00