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人から人へ本をつなぐ 秋田市で1世紀近く続く古書店、新天地で営業スタート 3代目店主の思いに迫る

秋田市で1世紀近く続く古書店が、6月に新天地で営業を始めました。デジタル化が進む時代に人から人へと古本をつなぐ3代目店主の思いに迫ります。

棚いっぱいに並ぶ本。小説から郷土史、哲学書まで、ここは思いがけない1冊と出合える場所。6月1日に秋田市牛島にオープンした古書店「板澤書房」です。

1931(昭和6)年の創業で、もともとは秋田市大町の横町通りに店を構えていましたが、道路を広げる工事に伴い、立ち退きを余儀なくされました。

3代目店主・板澤吉将さんです。以前から店が手狭だと感じていた板澤さんは、迷わず新築して再出発する道を選びました。

板澤書房・板澤吉将さん:
「やめるという選択肢は毛ほどもなかった。新刊書店も減っているが、古本屋もどんどん減っている。ここでうちがなくなったら、秋田の古本屋がなくなっていく流れがまた加速するのではないかと思った」

明るい照明に、広々とした通路。店に並ぶ本は3万冊。倉庫にある分を合わせると10万冊近くに上ります。

約180年前の江戸時代に出版された本『今人俳諧図会』について、板澤さんは「当時の俳人たちの姿と俳諧をセットで載せている当時のビジュアルブックというところ」と教えてくれました。

48万円の値を付けた葛飾北斎の絵の手本集など、時代も価値も様々な本が並びます。

新たな店には駐車場もあり、移転をきっかけに新規の客が訪れるなど、順調な再出発を切った板澤書房。

その一方で、板澤さんには忘れられない出来事があります。3年前に県内を襲った記録的大雨です。

楢山にあった本の倉庫が腰の高さほどまで浸水し、5万冊を超える本が被害を受けました。

板澤吉将さん:
「うちの在庫はみんな、お客さまからお預かりして他のお客さまにおつなぎする途中の本。次のお客さまにつなぐ前に、うちのところで駄目にしてしまったなと、非常に申し訳ないという思いは強かった」

新たな店は、土地をかさ上げするなど水害への対策も施しました。

誰かが手放した本を次の誰かへつなぐ。

古書を扱う板澤さんは、買い取りの中で本に込められた思いに触れることもあるといいます。

板澤吉将さん:
「本人に売ってもらうことが多いが、遺族に売ってもらうことも多い。例えば『あんな厳しい父がこんな児童書を持っていたということは、私に渡そうと思っていたんだろうけれど、父の本棚にあるということは渡せなかったのかな』とか」

本だけでなく、そこに残された人の記憶も次の世代へつないでいく。それも古書店の役割の一つです。

板澤吉将さん:
「ちょっと勇気のいる値段の本も、100円の本も200円の本も、内容がやわらかい本もかたい本もある。実際に来て、本棚をじっくり見てもらえば、何かしら琴線に触れるものがあると思う」

祖父から父、そして息子へ、間もなく創業100年。デジタル化が進む時代にも、板澤書房は人から人へと本をつなぎます。

07月31日(金)19:00

 
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