16年ぶりに新人同士の争いとなっている秋田県知事選挙。3人の候補者は連日各地で論戦を展開しています。3人のこれまでの戦いぶりをお伝えします。

知事選に立候補しているのは、いずれも無所属の新人で、届け出順に元副知事の猿田和三氏（61）、元県議会議員の鈴木健太氏（49）、秋田市に住む大久保範夫氏（73）の3人です。

【猿田和三氏】　
元副知事の猿田和三氏は、20日の出陣式のあいさつで「私は、ふるさと秋田の発展のために全身全霊を捧げ、覚悟をもって持ってとことんやり抜きます。働きます」と有権者に意気込みを語りました。

出陣式には、与野党にかかわらず多くの県関係国会議員や市町村長が駆け付けました。猿田氏はさまざまな組織の手厚い支援を受け、選挙戦を展開しています。

30 年以上にわたって県職員を務め、行政経験は豊富な猿田氏ですが、政治の世界への挑戦は初めてのことばかりです。

遊説に同行するベテランの県議から有権者に握手するように促されるなど、前半戦はアドバイスを受けながら県の北部を中心に遊説しました。

猿田氏：
「私は人口対策に真っ向勝負。覚悟を決めてとことんやります」

猿田氏は、県の幹部職員や副知事として佐竹知事を支えてきたいわば現県政の一翼。一方で、選挙戦では「改めるべきところは改める」と、これまでとの違いを強調します。

猿田氏：
「佐竹さんがやってきたこと、私たちが一緒にやってきて良かったこと。農業の生産拡大してきた。再造林やってきた。それはもっと進めていきます。観光も進めていきます。これは変えた方がいい、やめた方がいいということは躊躇（ちゅうちょ）なくやめます。私は佐竹さんと別人格、別の人ですから、そのまま同じことをやるわけではないです。同じような発言はしないですよ。心配はかけませんから」

猿田氏は後半戦に向けて「17日間、全力疾走で駆け抜けたい。そのための気力、体力をしっかり整えて、1人でも多くの県民の皆さんと直接会って話を伺いたい」と意気込みます。

猿田氏は、組織の支援を追い風に支持拡大を目指します。

【鈴木健太氏】
「この選挙は、秋田の未来を大きく変えるんだと、そういう声かけをしていただきたい。そしたら本当に秋田は変わります」

鈴木健太氏は、県議会議員を辞職し、知事選に挑んでいます。

1月に自民党を離党。党は今回の選挙を“自主投票”としているため、後ろ盾となる大きな組織はありません。その一方で、親交のある多くの県議や市町村の議員がともに各地を駆け回っています。

鈴木氏は、現在の県政に一定の評価を示すものの、人口減少や観光振興などを中心に「刷新が必要」と主張しています。

21日の県庁前の演説では、県職員を前に「ともに働きたい」と訴えました。

鈴木氏：
「どうか、私と一緒に新しい時代に新しい県庁組織をつくっていく、そして県民の皆さんに本当に胸を張って『ふるさとのために私たち役立っているよ』と、良い仕事をしていると思えるように、私と一緒に頑張ってみませんか」

鈴木氏は出馬を決めて以来、県内をくまなく回り、地域の声に耳を傾けてきました。集会の数は114回に上ります。

こうした活動を通じて鈴木氏の考えに共感したファンも選挙戦を後押ししますが、鈴木氏は「楽観できる情勢ではないので、反応が良いからといって勘違いしてはいけない。少しでも多くの皆さんに『鈴木健太はいいな』と思ってもらえるように全力で頑張るしかない」と気を引き締めます。

鈴木氏は、最後の最後まで支援者とともに支持を訴えます。

【大久保範夫氏】
「これから私の政治活動で県民に迷惑をかけると思いますので。私は、違法強制入院させられた冤罪事件であることを県民に1番よく知らせる方法が、この知事選の立候補だと思っていたので、前からずっと計画していました」

秋田市に住む大久保範夫氏は「知事になることで自身が受けた冤罪被害を解決できる」と訴えます。

選挙戦では、組織や団体には頼らず、すべてが手作り。まちを歩きながら公約を記したポスターを掲示板に張ります。地図で掲示板を探しながら、1日に20枚ほどを張っているということです。

大久保氏：
「4カ所のうち1カ所くらいしか張らないと思うが、やる。来週からは県庁、千秋公園、駅前で街頭演説をやりたい」

前半戦は、ポスターの掲示作業に力を注いだ大久保氏。後半戦は、県内各地で街頭活動を展開し、水害対策や教育支援の拡充などを訴えることにしています。

03月28日(金)20:00